知的財産に関するQ&A
大阪市立大学の知的財産に関して、よく問い合わせがある事項をQ&Aとしてまとめましたのでご活用下さい。なお、Q&A以外の知的財産関係についての質問は、URAセンター(知財部門)までお尋ね下さい。
知財部門:chizai★ado.osaka-cu.ac.jp 【★を@に変えてください】
1.発明の届出
2.権利の帰属
- Q2-1 発明届を提出した後はどうなるのですか?
- Q2-2 職務発明とは何ですか?
- Q2-3 本学が権利を承継する基準は何ですか?
- Q2-4 研究で学生や院生が関わって特許が生まれた場合は、どうなるのでしょうか?
- Q2-5 共同研究や受託研究などで生まれた発明はどうなるのでしょうか?
- Q2-6 教育研究奨励寄付金や秘密保持契約を結ぶ際に研究者個人と企業が発明の帰属について覚書を交わしても良いのでしょうか?
- Q2-7 本学帰属となった特許が個人に戻されることはありますか?
- Q2-8 すでに個人帰属となっている特許を本学帰属とすることはできるのでしょうか?
- Q2-9 個人帰属となった発明について、研究室の経費(委任経理金など)を使って出願することは可能ですか?
- Q2-10 帰属に関して不服があった場合はどのようにすればいいのですか?
- Q2-11 他機関へ異動した直後に特許出願を行う場合はどうなるのですか?
- Q2-12 本学へ着任した直後に特許出願を行う場合はどうなるのですか?
3.権利譲渡の対価
4.特許以外の知的財産の扱い
5.特許法第30条関係
- Q5-1 発明届け前に学会やインターネットや刊行物での発表等を行ってもよろしいか?
- Q5-2 卒業論文、修士論文の発表会や学内で行われる研究集会での発表はどのような扱いになるのでしょうか。
- Q5-3 取材を受けて新聞に掲載された記事や、大学からニュースリリースを行った場合は特許法30条にいう刊行物にあたりますか?
6.その他の知的財産
- Q6-1 講義やインタ-ネット講座用に作成した教材やマニュアル、プログラム、あるいはホームページの掲載物も知的財産となるのでしょうか?
- Q6-2 公知のオープンソースをべースに開発したソフトウェアの取り扱いはどうなるのでしょうか?
- Q6-3 開発したソフトウェアをオープンソースとして公開したいのですが、どうすればいいのですか?
- Q6-4 民間機関と共同で開発したソフトウェアの取り扱いはどうなるのですか?
- Q6-5 大学のロゴやマ-クの知的財産を使いたいがどうすればいいのですか?
- Q6-6 「ノウハウ」とはどんなものを言うのでしょうか?
- Q6-7 有体物とは何ですか?
- Q6-8 有体物を他の大学や研究機関に提供する場合は、どうすればいいのですか?
- Q6-9 有体物を他の大学や研究機関から提供を受ける場合は、どうすればいいのですか?
その他
- Q7-1 大学で、他者の特許された技術を研究に使用することはできるのですか?また、特許が大学帰属になったことによって、発明者が研究機関を移動した場合はその特許技術を使った研究が続けられなくなったりするのですか?
- Q7-2 特許係争のために、研究ノートをきちんとつけるようにとよく言われるのですが、どのように記載したらよいのですか?
1.発明の届出
- Q1-1. 発明をした場合、どのようにすればよろしいでしょうか。
- A1-1. 「発明届」等に必要事項を記入の上、URAセンターにご相談ください。記載漏れなど記載内容につきチェックを受けてから正式の発明届をURAセンターに届けてください。
- Q1-2. 発明届は、いつ提出すればよろしいでしょうか。
- A1-2. 特許には実施例が必要ですので、全くのアイディア段階ではなく、ある程度実験データでアイディアの裏づけがとれた場合に提出を考えてください。
出願前にすでに学会発表してしまった、あるいは論文が掲載されてしまったという場合は、特許登録ができなくなる恐れが強くなります。また、学会発表するから、あるいは論文投稿するから発明届を提出するというのでは、出願までの時間に制約を受け、良い特許にならない場合があります。発表前に出願することが鉄則です。 - Q1-3. 発明届を出す場合の留意点を教えてください。
- A1-3. 以下の点に気をつけてください。
- 発明者は誰か
発明者は、「自然法則を利用した技術的思想の創作」を行った人です。具体性のある着想を提供した人や提示された課題に対し具体的な解決手段を提案した人が発明者とみなされます。単に課題とか願望を提示しただけの人、あるいは単に指示されてデータをまとめた人、実験の作業を手伝った人、資金や設備等を発明者に提供しただけでは発明者とはみなされません。発明に関係あるすべての人を確認し、発明に誰がどれだけ寄与したかを決めてください。 - どの研究経費を使ったか
使用した経費については正確に記入してください。
民間等との共同研究や受託研究、国の競争的資金などの経費から生じる発明については、あらかじめ契約により権利の取り扱いや出願に係る費用の財源などが決められていることがあります。発明にあたり、どの経費を使用したかを確認してください。 - 先行技術はあるか
特許の出願にあたっては、明細書の中に出願人の知る限りの先行技術文献情報の記載が必要となっています。発明届の提出の前には、可能な範囲で先行技術調査をお願いします。学術論文では見あたらなくても、特許が存在する場合があります。ご相談いただければURAセンターが特許検索のお手伝いも致します。
- 発明者は誰か
2.権利の帰属
- Q2-1.発明届を提出した後はどうなるのですか?
- A2-1.教職員が職務上創出した発明は、原則的に本学に帰属します。しかし、 発明すべてが特許になる訳ではありません。提出された発明届をもとにURAセンターの知的財産部門の担当スタッフが発明した教職員と面談し、発明の内容を把握したのち、先行特許や先行文献の有無、進歩性や産業上の利用の可能性などを調査します。その後、職務発明委員会で、その発明が職務発明であるか否か、職務発明であれば、出願する権利を本学が承継する(譲り受ける)か否かを決めます。承継する場合は本学から出願します。本学が承継しないとされた発明は、発明者に返されます。
- Q2-2.職務発明とは何ですか?
- A2-2.「職務発明」という規定があります(特許法第35条第1項)。「従業者等がその性質上当該使用者等の業務範囲に属し、かつ、その発明に至った行為がその使用者等における従業者等の現在または過去の職務に属する発明」と規定されています。
職務発明については、契約、勤務規則、職務発明規則、その他の定めにより使用者等は特許を受ける権利もしくは特許権を継承することができる(特許法第35条)としています。これを「予約承継」といいます。この条項により、使用者である企業や大学法人は従業者や教職員の発明により生じた出願する権利を譲り受けることができ、出願者になれるのです。本学の知的財産取扱規程にも明記されています。 - Q2-3.本学が権利を承継する基準は何ですか?
- A2-3.本学が権利を承継するかどうかは、職務との関連性、特許等の成立の可能性、産業上の利用の可能性、承継時の法人の特許に係る経営的戦略、ベンチャー企業等の創出の可能性に基づいて判断しています。 本学が権利を承継して出願した場合は、補償金が支払われます。
- Q2-4.研究で学生や院生が関わって特許が生まれた場合は、どうなるのでしょうか?
- A2-4.沙巴体育app_沙巴体育平台-中国体彩网唯一官网推荐学生や大学院生は教職員と違って大学と雇用関係にはないため、大学がそれら学生の発明を承継する根拠はありません。しかしながら、学生や大学院生が発明者の一人となる場合も多いと考えられます。本学が権利を承継するためには学生との間で個別に譲渡契約を締結することになります。また、民間企業から社会人学生として研究に携わって発明が生まれた場合、社会人学生の持分の帰属については、当該企業との協議に応じます。
- Q2-5.共同研究や受託研究などで生まれた発明はどうなるのでしょうか?
- A2-5.共同研究から生じた発明の本学教職員の持分は、原則として本学帰属となります。本学が権利を承継した場合は、共同研究相手との共同出願となります。受託研究や教育研究奨励寄附金は、大学教職員に研究のすべてを任せる制度です。したがってその中で創出された発明は、教職員が単独で創出した発明であり、原則として権利はすべて本学に帰属するものとなります。しかし、受託研究や教育研究奨励寄附金による研究過程で、委託者あるいは寄附者の知見が必須要素として創出された発明は、共同発明として取扱うことができます。
- Q2-6.教育研究奨励寄附金や秘密保持契約を結ぶ際に研究者個人と企業が発明の帰属について覚書を交わしても良いのでしょうか?
- A2-6.法人化により、発明の帰属は発明者個人から原則大学帰属へと変更されました。したがいまして、知的財産について発明者個人と企業との間で契約を取り交わすことがないようにしてください。
- Q2-7.本学帰属となった特許が個人に戻されることはありますか?
- A2-7.本学帰属となった特許であっても、諸般の事情から登録?維持の打ち切り等をすることがあります。その場合には、特許権が発明者に譲渡されることがあります。
- Q2-8.すでに個人帰属となっている特許を本学帰属とすることはできるのでしょうか?
- A2-8.当該個人から本学帰属の申し出があったものについて、理事長の判断により本学帰属となることはあり得ます。
- Q2-9.個人帰属となった発明について、研究室の経費を使って出願することは可能ですか?
- A2-9.研究経費や教育研究奨励寄附金も大学の経費ですので、これを使って個人名義の出願を行うことはできません。
- Q2-10. 帰属に関して不服があった場合はどのようにすればいいのですか?
- A2-10. 通知書記載の日付から30日以内に所定の様式により異議申立書を理事長宛に提出して頂きます。受付窓口はURAセンターです。
- Q2-11. 他機関へ異動した直後に特許出願を行う場合はどうなるのですか?
- A2-11.発明は、発明の完成した時点での所属に帰属します。本学の帰属となる場合が多いですので、URAセンターにご相談ください。
- Q2-12. 本学へ着任した直後に特許出願を行う場合はどうなるのですか?
- A2-12.前任先での退職前の発明は前任先での職務発明となります。前任先での知的財産に関する手続きをおとり下さい。
3.権利譲渡の対価
- Q3-1. 本学に権利譲渡した発明者の対価はどうなっているのでしょうか?
- A3-1. 教職員の職務発明等で本学に権利譲渡された発明については、所定の時点において発明者に対して補償を行っています。例えば本学が特許を出願したとき、登録になったとき、あるいは特許権の活用により本学が収入を得たとき、などの際に当該特許権の本学発明者全員に補償金が支払われます。補償金の金額については、知的財産取扱規程?別表に定められています。
- Q3-2. 発明した教職員が他機関へ異動した場合や退職した場合はどうなりますか?
- A3-2. 異動前あるいは退職前の発明は本学での職務発明となります。URAセンターに届け出てください。
4.特許以外の知的財産の扱い
- Q4-1.知的財産のうち、「発明等」とそれ以外とでは、届出の手続きが異なるのですか?
- A4-1.特許、実用新案、意匠など知的財産取扱規程に規定する「発明等」については、すべて理事長(窓口はURAセンター)まで必ず届け出ていただきます。それ以外の1)回路配置利用権の対象となる回路配置の創作、2)育成者権の対象となる品種の育成、3)著作権法の対象となる著作物の創作(プログラムおよびデ-タベ-スに限定)、4)ノウハウ につきましては、その産業的利用価値が伴うものについてのみ、届け出ていただきますが、事前にURAセンターにご相談ください。
5.特許法第30条関係
- Q5-1.発明届け前に学会やインターネットや刊行物での発表等での発表等を行ってもよろしいか?
- A5-1.職務発明等の内容を含むと考えられる場合には、必ず事前にURAセンターにご相談ください。原則として特許出願前に学会等発表をすると特許を受けることができなくなる場合があります。ただし、例外的に、わが国では発明者の学会発表や論文発表、インターネットを通じて公知になった発明は、平成29年12月8日以前の公表は除いて1年以内(学会以前に予稿集が発行された場合、その予稿集の奥付に記載される発行日が公表の日付となります)に出願すれば特許を受けることが出来ます(特許法第30条)。ただし、この場合において、諸外国で特許が取得できない場合があるうえに、発明者の学会発表のアイディアに基づいて他の研究者が独自に改良発明をし、先に出願または発表を行ってしまうと本人の特許出願が認められなくなりますので注意が必要です。
- Q5-2.卒業論文、修士論文の発表会や学内で行われる研究集会での発表はどのような扱いになるのでしょうか。
- A5-2.卒業論文、修士論文の発表会や学内で行われる研究集会での発表についても、不特定の参加者が聞くことができ、秘密情報としての誓約がないようであれば、学会発表と同様に公知になる発表として扱われます。このため、特許出願前に卒業論文?修士論文発表会で研究発表を行う際には、次の2つの方法のいずれかをとる必要があります。
- 発明が「公知」とならない取扱いをするには、「公聴会」等の呼称を避け参加対象者の範囲を明示するとともに、発表会の参加者に発表内容が秘密であることを伝え、全員が秘密保持の誓約書に署名をする、関係資料の公開を避ける、などの工夫がいります。
- 発表会後に特許法30条の適用を受ける。
- Q5-3.取材を受けて新聞に掲載された記事や、大学からニュースリリースを行った場合は特許法30条にいう刊行物にあたりますか?
- A5-3.新聞社に原稿を渡すか、あるいは記者に説明(非公開)し、新聞に発表者名付きで掲載された場合は、新聞記事は刊行物として特許法30条が適用されます。また、新聞の記者に説明(非公開)して新聞に掲載されたが、発表者名は掲載されなかった場合は、特許法第30条適用の申請時に、新聞記事の複写物とともに、「発表者の説明(非公開)に基づき、記事を作成した」旨の証明書を提出すれば認められます。ただし、この証明書は出願日から30日以内に提出しなければならなりません。
6.その他の知的財産
- Q6-1. 講義やインタ-ネット講座用に作成した教材やマニュアル、プログラム、あるいはホームページの掲載物も知的財産となるのでしょうか?
- A6-1. 講義のために作成した教材やマニュアル、プログラム、あるいはホームページの掲載物は著作物ではありますが、本学の知的財産取扱規程上の知的財産とはみなされません。
- Q6-2. 公知のオープンソースをべ-スに開発したソフトウェアの取り扱いはどうなるのでしょうか?
- A6-2. その「オープンソース」がGNU GPL(GNU General Public License)などを適用されたものであれば、それに基づくソフトウェアもまたオープンソースとなります。一方、既存のオープンソースをプラットホームとして開発したソフト(アドオンソフト)をどういう扱いにするかは開発者の意向によります。
- Q6-3. 開発したソフトウェアをオープンソースとして公開したいのですが、どうすればいいのですか?
- A6-3. まずは、URAセンターにご連絡ください。知的財産創出の可能性について調査?評価させていただきます。
- Q6-4. 民間機関と共同で開発したソフトウェアの取り扱いはどうなるのですか?
- A6-4. 共同研究と同じ取り扱いとなります。
- Q6-5. 本学のロゴやマ-クを使いたいがどうすればいいのですか?
- A6-5. 本学のロゴやマ-ク等の使用をご希望の場合には、本学広報室にご相談下さい。
- Q6-6. 「ノウハウ」とはどんなものを言うのでしょうか?
- A6-6. 本学の知的財産取扱規定では、ノウハウとは、「技術情報のうち秘匿することが可能なものであってかつ財産的価値のあるものをいう」と規定されています。ノウハウは財産的価値がありますから、特許と同様、その使用には対価を要求することができます。ノウハウを案出したときは、様式に従って、理事長に届出をする必要があります。特に、共同研究の場合は、ノウハウの取扱いが重要です。まず、URAセンターにご相談ください。
- Q6-7. 成果有体物とは何ですか?
- A6-7. 新材料、微生物、細胞、試作品、動植物、実験材料など、研究開発の成果物や成果物を得る中間過程において、あるいは派生的に創作あるいは取得されたもので、産業的価値のあるもののことです。もちろん重要な知的財産のひとつです。
- Q6-8. 成果有体物を他の大学や研究機関に提供する場合は、どうすればいいのですか?
- A6-8. 提供先と研究材料提供契約を結んだ後に提供します。成果有体物の用途、価値などにより有償の場合や無償の場合があります。また、特に海外の機関へ提供する場合には慎重な対応が必要となります。いずれにしましてもURAセンターにご相談下さい。
- Q6-9. 成果有体物を他の大学や研究機関から提供を受ける場合は、どうすればいいのですか?
- A6-9. 成果有体物の受け入れ関する契約が必要となりますので、URAセンターにご相談下さい。
7.その他
- Q7-1.大学で、他者の特許された技術を研究に使用することはできるのですか?また、特許が大学帰属になったことによって、発明者が研究機関を移動した場合はその特許技術を使った研究が続けられなくなったりするのですか?
- A7-1.他者の特許発明については、発明の効果を試験するため、あるいはそれをステップにしてよりよい発明を研究するために実施を行うことは可能ですが、他者の特許発明を使って物を作る、あるいは試験するなど場合は、特許法に触れる場合があります。特許の発明者であっても大学から民間企業に就職した場合などは無断で業として特許を実施することはできませんのでご注意下さい。
- Q7-2.特許係争のために、研究ノートをきちんとつけるようにとよく言われるのですが、どのように記載したらよいのですか?
- A7-2.研究ノートは、日々の研究活動の記録を残すこと以外に、将来、発明がどの時点で、誰によって着想され、実験され、有用性が確認され、完成されたかを証明するための証拠ともなります。
[研究ノートを記載する上での注意事項]- 実験データは勿論のこと、発明の着想、実験の目的、予定、他の研究者への、あるいは、他の研究者からの指示内容等も記載する。
- ノートは、頁の差し替えができないものを用い、筆記具はボールペン、万年筆など色が消えず、コピーが鮮明に出来るものを使用し、鉛筆は使用しない。
- 訂正、削除は二重線等で消しその部分には小さくイニシャルか署名、修正日を付記する。
- 連続したページ順に記載し、余白には斜線を引く。記入事項が次頁または他頁に継続する場合、該当各頁にそのつながりを記入する。
- 毎日の終わりに日付を記入しサインをする。また、定期的に第三者に頁ごとに証人のサインをしてもらう。印鑑は使用しない。